灯りからの距離による産卵率の違いについて
110日齢で入荷は早いか?
昔の味たまご農場では110日齢で雛を仕入れて、早めに卵を産ませるようにしてきたのですが、より良い卵を作るために色々と検証してみたいと思います。
ここでは灯り(電球)からの距離による産卵率の違いを調べました。
養鶏には光線管理と言う技術があります。
よく、”一日中電球を点けて、一日に何個も卵を産ませている” と勘違いされる、あれの事です。
実際は鶏は一日に何個も産めません(というか毎日1個は産みません、産まない日があります)。
光の影響を受けて産卵の状態が変化するのですが、無理をさせれば結果は悪くなりますので色々と試す必要があります。
あれ?っと思ったら調べる!
毎朝、鶏舎を見回る時にいつも思っていた事があります。
「なんか、上の段の方が沢山産んでる気がするぞ?」
ここを調べたら得る物がありそうなので調べました。
このロットは110日齢で雛を入荷し、3:00~20:00、一日のうち17時間明るい環境になるようにスタートしました。
157日齢~671日齢までを計測しました。
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昔の味たまご農場では、110日齢で雛を入荷していたのですが、この記事を書いている現在(2016年)では120日齢で入荷しています。
光線管理についても14時間で飼育スタートした時と17時間で飼育スタートした時の違いを調査中です。
110日齢と120日齢の雛の違いも含め、結果はまた後日まとめます。
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急いては事をし損じる?
結果としては図の通りです。
灯りに近い4段目の方が産み出しは早かったのですが、長い目で見るとほとんど差はありませんでした。
むしろ、わずかですが1段目の方が産卵率が良いと言う結果が出ました。
僕が上の段の方が良く産んでいると感じたのは、この最初の産み出しの速さのイメージが強く、思い込みがあったようです。
長い目で見ると産卵率の違いはほとんどありませんでしたが、灯りに近い4段目では小玉が多すぎて適正価格で販売できた卵は少なかったようです。
灯りから遠く、産み出しが多少遅かった1段目の方が小玉も少なく適正価格で販売できた卵が多かったようです。
以上のことから、結論としては経営的には1段目の方が優れていました。
ここで見えてきたのは、あまり早く産ませるとトータルで見た場合損をしている可能性が高いと言う事です。
結果と今後の展望
これは僕の見解です。
灯りに近い4段目が初めて90%を超えたのは158日齢で、94%の産卵率をマークしました。
同じ日の1段目の産卵率は88%です。
4段目の産卵率のピークは166日齢で、99%を超えています!(笑)この日の1段目は95%です。
実は産卵率がどうでも、総卵重はほとんど変わりません。
どういう事かと言うと、沢山産ませれば卵は小さくなるし、少なく産ませれば卵は大きくなると言う事です。
大事なのは、適正価格で販売できるサイズの卵をいかに多く産ませるかと言う事になります。
全体で見た時のピークは180日前後です。
200日齢を超えた頃から急激に産卵率が落ち始めて、323日齢の時にすでに強制換羽を行っているので、ちょっと早いタイミングでの強制換羽です。
(※強制換羽とは産卵が落ちてきた鶏の産卵をもう一度良くする方法と思って下さい。詳しくは別の機会に記事にします。)
今までの慣習でそうしてきたのですが、110日齢で入荷し卵を産ませ始めるのは早いのではないかと思います。
鶏がカルシウムを吸収できるのは120日齢まで
雛は120日齢まではカルシウムを吸収できるのですが、それを超えるとカルシウムを吸収できなくなります。
その後、自分の体のカルシウムを使いながら卵を産むので、120日までは育雛用の飼料を与えて、しっかりした体を作るのが良いようです。
120日齢で入荷すると産み出しが遅く、産まない間の餌代がかかるので損な気がするのですが、長い目で見ると120日齢での入荷が良いように思います。
現在120日齢で入荷し、14時間点灯でスタートした時、17時間でスタートした時のデータを集めています。
その結果を総合的に見てどうするのが経営的に良いのかを判断します。
より良い卵を良り安く!
安売りは良くありませんが、少しでもお値段をおさえてお届けするのも養鶏農家の大切な仕事です。